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”大西洋に向かって振られる白いハンカチ“。 イベリア半島から伸びた細長い砂州の先に広がる5弁の地形から、カディスはかく表現される。腕に相当する部位が発展する新市街。ハンカチにあたる部分が、さまざまな歴史の記憶をとどめる旧市街となっている。
ジブラルタル海峡の東に広がるコスタ・デル・ソル(太陽の海岸)」が、 どこか正装した余所余所しさを覚えるリゾートなのに比べて、海峡の西海岸コスタ・デ・ラ・ルス(光の海岸)の町々は、同じ紺碧の空と海に囲まれながらも普段着の飾り気のないスペインを感じさせてくれる。
旧市街はことのほか小さい。両端の距離が2キロ程度。港は旧市街の一角に位置する。散策の舞台としては格好の町だ。
世界のどの町でもいえるように、都市の歴史と素顔に触れるには旧市街に足を踏み入れいるのが一番だ。優雅な建物や洒落た広場が点在する旧市街は、この町が交易によって繁栄の頂点を極めた18世紀に整備された。
それにしても、まるで折詰め弁当のように、わずかな地域にぎっしりと建物が詰め込まれた感のある旧市街。バロック様式の大聖堂と輝くドームのカテドラル、ムリーリョの祭壇画のサン・フェリペ・ネリ教会、フェニキア人が遺したコレクションの博物館。市街が一望に見渡せるタビアの塔、庶民の活気がみなぎるメルカード(市場)。
いくつかの目的地を訪ねながら、昼間でも陽射しが届かないほの暗く狭い道の探索は、旅の醍醐味の一つでもある。
旧市街から海岸通りに出ると、世界は影から光へ一変する。美しいビーチや緑眩しい公園が続く。港と旧市街を挟んで反対側にあるサン・セバスティアン城や、サンタ・カタリナ城まで、どんなにゆっくり歩いても小1時間あれば十分だ。
眼前は大西洋。かつて多くの船乗りたちが黄金の国を目指して帆を揚げ、そして見た風景が果てしなく広がっている。 |