湯布院の良さは旅館に泊まりそこでおいしい食事をいただくことに加えて、自分の足で外を歩いてみることで見つけ出すことができる。フェリーに乗って港に到着したらそのまま目的地まで車を走らせる、というのがマイカー旅行者の常識であるし、「さんふらわあ」もそういう旅のスタイルのお手伝いをしてきた。しかし湯布院に関して言うならば、クルマは別府か大分に置いてゆっくりバスや列車で高原を越えてみることを、あえて勧めたい。
のんびり由布岳の姿をバスの車窓から眺めたり、家族や地元の人と向かい合って列車に乗る。そんないつもと違った1時間を過ごす素晴らしさに出会えるはずだ。たまには湯布院の地ビールなんか飲みながら、子どもたちも含めて一緒に時間を過ごしてみるのもいいのでは。車をどこかに置いてゆっくり歩いてみれば、そういう時間の楽しみ方もできるし、何よりも湯布院のあちこちに隠された良さを発見することができる。
湯布院の旅の最後に辻馬車に乗ってみた。カッポカッポ。蹄の音を聴きながらのんびりと田園風景と由布岳を眺める。なまり言葉で語る御者のお兄さんの話を聞いていると湯布院という土地のことはもちろん、車を引く馬という生き物にも愛情が芽生えてくる。蹄の音が聞こえてくると家を飛び出して手を振る子どもに手を振り返しながら「あの子は○○ちゃんで、いつもこの時間になると出てくるんですよ〜」とお兄さんが紹介する。道路を走るクルマもどんなに急いでいても、辻馬車にはいやな顔ひとつせず道を譲る。ここには究極の素晴らしきスロートラベルがある。馬車に揺られていた約1時間、僕は間違いなく時間泥棒から時間を取り返していた…。
馬車を降りた僕はバスに揺られて別府観光港へ。そのままさんふらわあに乗って、夜の瀬戸内の海をスローに移動していったのでありました。
(TEXT 金丸知好 Text:Tomoyoshi
Kanamaru)
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湯布院の魅力というのはちょうど人間が歩けるヒューマンスケールにあると思うんです。
温泉地・保養地というのは人間が回復する場であると思うんですね。回復する場では、温泉に入ってただ飲み食いするだけじゃないと思うんです。今は皆さんが健康志向で、「癒し」ということもあるようにほど好く歩いたりほど好く運動したり、「ほど好く」というのが必要だと思うんです。温泉に入ってちょっとおいしいもの食べたり、町をちょっと歩く、と。
そして何か感動を覚えるようなものに出会う。湯布院は小さな美術館だとか、ちょっとしたギャラリーだとか、ふと立ち止まりたくなるような空間って何箇所かあると思うんです。で、そういうところに行ってまた何か心も癒されるということができるんじゃないでしょうか。
また、冬の湯布院は寒いところなんですけど、5分でも10分でもちょっとお茶を飲める空間があるわけですよ。日本人ってもっと茶を楽しんだほうがいいと思うんです。九州は八女茶もあれば知覧茶、杵築とか嬉野など地域によってお茶って全然違うんですね。お茶がこんなにおいしいのかということも含めて、歩き疲れたらゆっくりとお茶をいただくのもいいんじゃないでしょうか。 |
【由布院玉の湯】
大分県由布市湯布院町湯の坪
TEL:0977-84-2158
桑野さんが代表取締役社長をつとめる旅館が由布院玉の湯だ。湯布院は昭和40年代後半から30年以上、「外に開かれた旅館」をつくってきたが、そのシンボル的存在が玉の湯だと言える。宿泊者はもちろん、他の旅館に泊まっている人も山里料理のレストランや、緑あふれる庭(写真)を眺めながらお茶を楽しめるティーラウンジを利用できる。湯布院に来たら一度は泊まってみたい旅館のひとつだ。 |
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