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北薩摩の旅
ご当地出身の俳優 榎木孝明さんが描く水彩画の原風景をたどる  ※水彩画は掲載しておりません。

ご当地出身の俳優榎木孝明さんが描く水彩画の原風景をたどる北薩摩の旅 (水彩画『悠山』の原景)
鹿児島といえば桜島と西郷どん。桜島を見ると「鹿児島に来たんだな〜」っていう実感が、ホント沸きます。垂水と鹿児島・鴨池をむすぶフェリーから眺める桜島は、まるで西郷どんのようにどっしりしていました…。
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北薩摩

いよいよ北薩摩に分け入る。榎木孝明さんのふるさと菱刈町に入ると、のんびりとした田園風景が一面に広がり、まもなく大口に着く。

有名ガイドブックの鹿児島案内で、大口について触れているものはほぼ皆無だ。だからここを訪れない、というのはもったいない。桜の花が咲くころ、大口はにぎわう。日本桜名所100選のひとつ忠元公園があり、ちょっと山奥にはなるが日本最大のエドヒガン桜があるからだ。

10年前にこの世を去った作家・司馬遼太郎さんは1970年代、「街道をゆく〜肥薩のみち」の取材で大口を訪れている。司馬さんは郊外にある曽木の滝を見て、このように書いた。
「これだけの滝が世間にあまり知られていないということもいかにも薩摩の国らしくておもしろい」
いま、目の前に日本離れした豪快さをもつ曽木の滝が、ごうごうと音を立てている。旧友が言った。「曽木の滝は、よく、東洋のナイアガラって言われるけど、そのすごさは俺にしてみれば東洋のイグアスだね」と。ナイアガラの滝を凌駕する南米の大滝イグアスを例に取ったのだが、なるほど、その比喩は決して的外れではない。そして司馬さんがここを訪れてから長い歳月が経過したが、この滝の存在はあまり世間に知られていないままだ。

大口の旅の最後に、曽木の滝から1.5キロ下流にある大鶴湖へ向かう。その湖底には明治42(1909)年に建設された、中世ヨーロッパの古城をもほうふつとさせるレンガ造りの建物が水面からその姿を少しだけ現していた。

曽木第二発電所の遺構である。その出力は当時国内では最大級を誇り、遠く熊本の水俣にまで送電していたという。しかしこの立派な建物も、昭和40(1965)年に下流の鶴田ダムの完成とともに湖底に沈み、その全景を拝めるのは渇水期の4月末から9月までとなってしまった。沈んだのはこの発電所だけではない。下ノ木場という集落もダムの完成とともに地図から消えてしまった。
「ここの説明をするときは、つい、力が入ってしまうんですよ」
と、大口市役所・地域振興課の宇都宮安照さんが言う。宇都宮さんは、いまは水の中にある下ノ木場集落のご出身だったのだ。

今度はレンガ造りの発電所がすべて姿を現す季節にまた訪れたい。そう思いながら、大鶴湖をあとにした。

現地取材協力:大口市役所地域振興課
(テキスト 金丸知好 Text : Tomoyoshi Kanamaru)

榎木孝明美術館
大分県・飯田(はんだ)高原に位置し、今年5月でオープン3周年を迎えます。大分を描いた作品を中心に、様々な風景をご覧いただけます。

〒879-4911 大分県玖珠郡九重町大字田野字吉部1712-707
TEL:0973-73-3812

交通アクセス:(車利用の場合)高速道路で大宰府I.Cから九重I.Cまで約1時間20分、佐賀大和I.Cから約1時間30分、別府港から1時間20分、大分港から1時間30分。
営業時間:午前10時〜午後5時(入館は午後4時まで)
休館日:毎週水曜日
入館料:大人500円、高校生以下250円
西美の杜美術館 榎木孝明 水彩画館
北海道・美瑛町に2005年10月にオープンした榎木さんにとって2番目の美術館。旧西美小学校の建物を再利用し、地元美瑛を中心に、インドやチベットなどで描いた作品約100点が展示されています。

〒071-0478 北海道上川郡美瑛町字ルベシベ(留辺蘂)第二
TEL:0166-95-2339

交通アクセス:(美瑛町まで車利用の場合)、富良野から約40分、旭川I.Cから約30分、千歳I.Cから約2時間35分、札幌I.Cから約2時間5分。(美術館まで)JR美場牛駅から車で約5分、JR美瑛駅から車で約15分。苫小牧からは、高速道路を利用して約3時間。
営業時間:5月〜10月 午前9時〜午後5時/11月〜4月 午前10時〜午後4時(入館は閉館30分前まで)
休館日:毎週水曜日。
入館料:大人500円、中・高校生250円(小学生以下は無料)

榎木孝明公式ホームページ:オフィス・タカ

【忠元(ただもと)公園】
日本桜の名所100選のひとつが、この公園です。2キロにも及ぶ桜並木が、桜のトンネルを作るさまは壮観!芝生などが整備され、花見がよりしやすくなりました。例年桜まつりが4月1日(前夜祭)と2日に行われる予定です。
【日本一のエドヒガン桜】
樹齢600年を超え、高さ28メートルの巨大な桜の木。この日本最大の桜に出会うには、ちょっと山歩きが必要ですが、一見の価値あり、です。3月末から4月にかけて花を咲かせます。
水彩画『白い水の舞い』の原景
【曽木の滝】
滝幅210メートル、高さ12メートルという大陸的スケールを誇り、「東洋のナイアガラ」とも呼ばれています。桜や紅葉のシーズンは特に美しいですが、6〜7月の最も水量のある時期は滝の落水はすごい迫力。滝の周りにある大きな岩で、ガイコツのようなかたちをしたものは、なんだかほほえましかったです。
水彩画『レンガ色の思い出』の原景
【曽木第2発電所遺構】
水彩画『笑う石像』の原景
【郡山八幡神社】
笑う石像は焼酎発祥の地であるこの神社の、鳥居に向かって右手にいらっしゃいました。「あうん」の像の「うん」のほうなので、本来はいかめしい顔なのですが、よく見ると微笑んでいるようにも見えます。榎木さんの優しい心とまなざしがよく表れた一枚。現場に立ってあらためてそう思いました。
この郡山八幡神社では昭和29(1954)年の解体修理のときに、大発見がありました。それは永禄2(1559)年の宮大工の落書き!その内容はというと現代風に直せば「施工主の寺僧がケチで、改築にあたっている俺たちに一度も焼酎のご馳走がなかった。全くムカつく」というもの。食い物(飲み物)の恨みは恐ろしい、とは昔から言いますが、ここに「焼酎」という文字が登場していることが、日本最古のものとして話題になったのです。
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